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文在寅政権の「月光政策」とはーそれは米国と韓国の深刻な対立を生み、悲劇の入り口に繋がります。

文在寅政権の対北政策を産経新聞元ソウル支局長の黒田勝弘氏がわかりやすく解説してくれています。

まずそれを引用してそれから意見を付け足します。

なお急ぐ方は引用が長いので後半からお読みください。


(引用開始)


文在寅政権は対北「月光政策」? 国際社会で通用するか

黒田勝弘の緯度経度

2017.5.13 09:00


(前半)

 左翼、右翼という言葉の由来は、18世紀のフランス革命後の国民議会で、議長から見て左側の議席に座ったのが急進派で右側に座ったのが保守派ということからきている。韓国の大統領選で当選した文在寅(ムン・ジェイン)氏は日本では左翼とか革新系とされているが、日本人からはよく「韓国で左翼と右翼を分ける基準は何か?」と聞かれる。答えを簡単にいえば北朝鮮に対する考え方の違いだ。左翼(革新系)は北朝鮮を同族として支援や協力の相手と考え、話し合い重視で融和的な姿勢なのに対し、右翼(保守系)は北朝鮮を人権無視のひどい独裁体制だとし否定の対象と考え、対決や制裁などで打倒すべきだという姿勢だ。

 過去、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(1998~2008年)が左翼・革新政権だった。したがってこの2人の大統領は当時の北朝鮮の最高指導者・金正日(ジョンイル)総書記と南北首脳会談を開催し、対北支援・協力として南北共同の金剛山(クムガンサン)観光事業や開城(ケソン)工業団地開設を進め、支援の“手土産”を持った民間団体の訪朝も活発だった。

 この時の対北融和策は金大中氏の提唱で「太陽政策」と称された。これはイソップ寓話(ぐうわ)の「旅人のマントを脱がすには強く冷たい北風ではなく暖かい太陽の方が効果がある」というたとえ話からきている。

 つまり北に対しては対決や締め付けではなく支援・協力をした方が北の警戒心を和らげ変化や開放に導くことができる-という考えだった。

 しかしその間、結果的に北は核兵器・弾道ミサイルの開発を進めるなどマントを脱ぐ気配はなく、次の右翼・保守系の李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)政権(08~17年)になって金剛山観光は中断され開城工業団地も閉鎖された。北による韓国哨戒艦撃沈や延平島(ヨンピョンド)砲撃など軍事挑発も相次いだ。

 今回、左翼・革新系の政権奪回で文在寅・新大統領はあらためて対北融和策に回帰しそうだ。就任演説では「平壌も訪問したい」つまり南北首脳会談に早くも意欲を示している。

 

(後半)

文政権の来るべき対北融和策については「月光政策」なる言葉が登場している。米紙が金大中氏の「太陽政策(サンシャイン・ポリシー)」をヒントに文氏の名前の英語表記「MOON(ムーン)」が「月」に通じるため「ムーンシャイン(月光)・ポリシー」と名付けたからだ。

「月光」は本来の英語は「ムーンライト」で穏やかなソフトイメージだが、対北国際包囲網が強まっているなか文氏の「ムーンライト・ポリシー」がどこまで国際社会で通用するか。

 文氏が仕えた盧武鉉氏は退任後「左翼陣営は能力に比べ目標が高すぎる」とし、自らは「中道実用主義者」だったと回想している。反米的だった彼も最後は左翼系の反対を抑えイラク戦争への大量派兵や米韓FTA締結など対米協調に踏み切った。金大中氏も日本大衆文化解禁や小渕恵三首相(当時)と対日和解の「日韓共同宣言」を発表している。

 文在寅氏はカリスマと指導力のあった先代2人に比べ、人懐っこくて大衆的だが半面、重みと押しに欠ける。そこで“非実用的”で目標ばかり高い左翼勢力をうまくコントロールできるかどうか。先代の“学習効果”に学んで現実対応に知恵を働かせるのか、それとも欲求不満で強気の左翼に引きずられるのか。このあたりがウオッチング・ポイントになろうか。


(引用終わり)


この解説はわかりやすいのですが、大事な一点が抜けています。

それはトランプ政権になってアメリカの対北朝鮮政策がガラッと変わってしまった点にあります。

トランプ政権ではオバマ前大統領の「戦略的沈黙」、つまり北朝鮮が歩み寄らない限り何もせず無視するという政策を含めて過去20年のアメリカの対北政策は誤りであったと明言しました。

アメリカが何もしない間、あるいは金大中政権の太陽政策と時は協力的でさえあったのが盧武鉉政権での太陽政策では対米関係が相当悪化しました。

もしアメリカがようやく築いてきた対北朝鮮包囲網を崩してしまう「月光政策(太陽政策的なもの)」行ってしまえば、アメリカは韓国を完全に見放す可能性があります。

それはどういうことかと言えば、過去の北朝鮮の核・ミサイル問題は北東アジアの安全保障の危機つまり韓国、日本といった同盟国の危機が主眼でありました。

しかし、いまや北朝鮮はアメリカ本土を射程内に入れる核搭載のICBM(大陸間弾道弾)を完成間近としているのです。

これはアメリカにとっては到底許すことのできないことです。まして北朝鮮は政権No.2の近親者でもほとんど裁判なしの即決処刑し、また金正恩の義理の兄までも大量破壊兵器でもある化学兵器で暗殺しました。

まさに何をするかわからないならず者国家であり、テロ国家とも言える北朝鮮がアメリカ中枢のニューヨークやワシントンに届く核ミサイルを持つとなれば、そんな非道なものに脅されること自体絶対に許すことはできないということになります。

文在寅政権の対北融和政策は北の核ミサイル完成のための時間稼ぎとしかアメリカは受け取らないでしょう。つまり韓国は北朝鮮の同調者とみなされるということです。


アメリカはいま四つのNOを掲げて非公式での北朝鮮との対話をこころみています。

四つのNOとは北朝鮮の労働党の支配体制転換を求めない、金正恩支配体制の転換を求めない、三十八度を越えて侵攻しない、南北統一を急がないというものです。

これは一見北朝鮮に歩み寄っているように見えますが、実際は“これ以外は何でもする”という意思表示に他なりません。

つまり、核関連施設、ミサイルや長距離砲といった軍事施設はもちろんあらゆる指揮中枢施設、軍事施設に対する攻撃を、あらゆる方法、空爆、ミサイル攻撃、場合によっては核攻撃も辞さないということです。

また、これは中国に配慮したものであり、中国サイドからの圧力に期待しているのです。

つまり、中国の関与をこれ以後も許容するとともに主導権は渡さないという意思表示でもあります。

文在寅政権がそれを読み間違えて、独自の主体的交渉を北朝鮮に持ちかければ、アメリカの強行な手段を呼び起こすことになりうるでしょう。


此の期に及んではアメリカは北朝鮮が核放棄をする意思を明確にする以外交渉をしないでしょう。

しかし、文在寅政権は交渉によって核の放棄を迫るつもりでいます。

同じ交渉でも中身がアメリカと韓国では全く違っています。

文在寅政権が想定しているのはまず核開発の中断、あるいは凍結をして交渉によって核放棄を目指すというものです。

しかしアメリカは過去それで北朝鮮に騙されて、交渉によって得た資金で核開発をしてきた北朝鮮の方針は全く変わっていないことを確信しています。

ですからあくまで、北朝鮮の核放棄が前提でなければ、交渉に応じることはありません。


文在寅政権の「月光政策」は危険な綱渡りを始まるもなる可能性があります。それは韓国国民の特に北朝鮮の過去をよく知らない二十代、三十代にとってわかりやすく魅力的ですらあるのでしょうが、悲劇への入り口です。

次回は“要求の高い左翼”の対北融和政策よりもさらに危なっかしい文在寅政権の政策を取り上げます。

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