北朝鮮の崩壊とポスト金正恩体制をどうするか。米中の綱引きと韓国の未来は?
アメリカによる北朝鮮先制攻撃は単なるブラフではなく場合によってはいつでもなんでもありうるぞということはトランプ政権の姿勢であろうと思います。
しかしマティスを韓国、日本に送ってみると全くその両国には対応ができる状態ではなかったということだと思います。
とくに韓国はそんな協議をできる状態でなく、逆に左派政権ができれば、在韓米軍の撤退もありうると示唆せざるを得ない状況でした。
日本は対応をこれからしますという次元で検討を重ねているという模索中でこの問題は終わりです。
そこでアメリカとしては中国ともう一つ挙げるならばロシアと協力のなかで、ポスト金正恩体制を考えなければならないことを確認しました。
ポスト金正恩、つまり独裁体制崩壊後の北朝鮮の統治に対して日本のできることは資金とハードとソフトの技術の提供ということになるでしょう。
それはオバマ政権の時から検討されてきたことですが、ただオバマは自分の方からは何もしようとはしなかったのです。
ところがトランプ政権になると強気に中国さえも揺さぶってきてどういう選択肢もあるぞという圧力を強めてきました。つまりトランプはやるべきことにはさっさととりかかるということです。
そして日米同盟を最大限強化するとしたため、北朝鮮は焦りを感じ、新型中長距離ミサイルを発射しました。
そしてトランプ・安倍首脳会談直前のトランプ・習近平電話会談がかなりやりとりが緊密であったことを知った金正恩は米中にとってポスト金正恩の最有力であった金正男の暗殺を急がせたと推察できます。
金正男暗殺が北朝鮮の国家ぐるみの犯罪であったにもかかわらず、あまりにもずさんで自国の犯罪を見事に露呈してしまいました。
これはこの時期に金正男暗殺を強行したのは、アメリカや中国の思い通りにさせないぞという金正恩の焦りを感じさせます。
このことは韓国での大統領弾劾裁判、あるいは今年いずれにせよ行われる大統領選挙にもじわじわ影響を与えることでしょう。つまり世論の流れを変える可能性が出てきました。
そのチャンスを活かせるかどうかは韓国自身が目を覚ますかどうかにかかっています。
最終的にアメリカが先制攻撃に踏み切る(デッドライン)のは北朝鮮の核ミサイルがアメリカ東部すなわちワシントン、ニューヨークまで届くようになったど判断される時になります。
それまでは中国と話し合い、日韓米の同盟体制の強化、北朝鮮への硬軟取り混ぜたアプローチといったことが続くしかありません。
しかし、トランプであろうとなかろうとアメリカの最終判断は核ミサイルが、米国東部に届くことにあることは変わりません。
もはや対話で解決することは不可能ということはわかっているのですが、韓国、日本、中国(とあえていえばロシア)との折り合いをどうつけるのかということと、トランプ政権内部の体制が固まるか、ですが、予想としては年内にも遅くとも来年の遅くない時期には決着するでしょう。
韓半島におけるD-dayはいつかという問題は米中ロシアの協議がどの程度に進むかかかっています。
しかし、その協議中にこそ北朝鮮の暴発の危機が高まり、予期せぬ事態もおこりえます。
ここで問題が深刻なのはもう一方の当事者、韓国の動向が読めない点です。韓国がしっかりとアメリカとつながるならば、中国を牽制した北朝鮮政策、ひいては独裁崩壊後の北朝鮮統治が好ましい方向に進みますが、逆ならば韓半島に未来はありません。
中国の目的は中国を中心とする南北の統一です。そこにどう持っていくか時間かせぎをしながら、韓国を狙っています。
ではどうするか?米韓同盟を中心に先制攻撃を含めた軍事的圧力をかけることと、中国に政治的、経済的に揺さぶりを続け、韓半島に対する中国の妥協をどれくらい引き出せるかにかかっています。
日本はどこまでもトランプ政権を支持し、最大限の協力をしながら、米側と、歩調を合わせた後方支援を中心に全力をあげるしかありません。