韓国パッシング( 韓国排除 )を閣僚も言い始めました。それの意味するものは?
韓国の保守系新聞の朝鮮日報の社説でついに、韓国閣僚から、韓国排除(パッシング)という言葉が出るようになったという報道がされました。
その意味はアメリカと北朝鮮が話し合いをして、やがて北朝鮮の戦略が成功することをはっきりと指摘しています。
〜引用開始〜
社説】韓国政府閣僚の口から出た「コリア・パッシング」
2017/08/25 10:22
韓国統一部(省に相当)の趙明均(チョ・ミョンギュン)長官は23日に行った講演で「北朝鮮が近く核兵器開発を終え完成段階に至れば『ゲームチェンジ』あるいは『コリア・パッシング(韓国排除)』が本当に起こるかもしれない」と述べた。
北朝鮮が核ミサイルを完成させることで状況が完全に変わり、その結果、米国と北朝鮮が直接取引を行う状況になりかねないという意味だ。
韓国の政界や米国国内など一部で指摘されてきた懸念が、昨日になってついに韓国政府閣僚の口から直接出始めたのだ。
実際の状況を見ても趙長官の言葉通り事態は進んでいる。北朝鮮は小型化した核兵器を搭載できるさまざまなミサイルを今も開発しており、米本土の攻撃も可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成も目前に迫っている。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の北朝鮮を核保有国として認めさせるという目標は一度もぶれたことがなく、今後もそれは変わらないだろう。
韓国政府の反対で米国が軍事行動に踏み切る可能性も事実上なくなってしまったため、金正恩氏にとってはもはや障害は何もなくなった。
北朝鮮に対する国連制裁などもそれが発表される時は「過去最高レベル」といつも言われるが、それでも短期的な効果は期待できない。
一方で北朝鮮とロシアとの貿易規模は昨年に比べて72%増えた。こちらの穴をふさげばあちらの穴が開くという状況だ。
趙長官は「可能な平和的手段は全て動員し、最悪の状況にだけはならないようにしたい」と述べたが、それが可能とは趙長官自身も考えていないだろう。
結局20年以上にわたり続いてきた北朝鮮の核問題は、北朝鮮にとって「成功」という結果に帰結する可能性が高い。
その次の段階がどうなるかは今のところ予測もできない。北朝鮮は政治面、軍事面の双方において韓国を交渉相手として認めたことはない。
また近く米国は事実上北朝鮮の核廃棄を諦め、ICBMだけでも阻止しようと動きだすだろうし、これに北朝鮮は莫大(ばくだい)な見返りを要求するだろう。
その見返りが何であれ、大韓民国国民がそれによって安全を確保できるとは考えられない。
最善のシナリオであっても、結局国民は金正恩氏が持つ核兵器の人質として生きていくしかない。米朝間によるこのような話し合いに韓国が口を挟む余地もないはずだ。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は23日、統一部の業務報告を受ける際「南北関係は膠着(こうちゃく)状態にあるが、春は必ずやって来る」と述べた。
文大統領が考える「春」が「北朝鮮の核開発凍結と無意味な追加交渉」あるいは「事実上の核兵器認定」などを意味するものであれば、その春が実現する可能性は高いだろう。
それによって大韓民国が安全保障面で払うべき深刻な代償も「平和」「南北対話」「和解」などの言葉で飾られるだけだ。
そのような形で一時的に現実から顔を背けることはできて、「核兵器の人質」という韓国が置かれた本質的立場は現実として何も変わらない。何か特別な変化がない限り、この状況は5年以内には現実となるだろう。
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
〜引用おわり〜
この記事の中で次のような文章が出てきます。抜き書きをします。
「結局20年以上にわたり続いてきた北朝鮮の核問題は、北朝鮮にとって「成功」という結果に帰結する可能性が高い。
その次の段階がどうなるかは今のところ予測もできない。北朝鮮は政治面、軍事面の双方において韓国を交渉相手として認めたことはない。
また近く米国は事実上北朝鮮の核廃棄を諦め、ICBMだけでも阻止しようと動きだすだろうし、これに北朝鮮は莫大(ばくだい)な見返りを要求するだろう。」
この文章の中で北朝鮮は「北朝鮮は莫大な見返りを要求するだろう。」 「その見返りが何であれ、大韓民国国民がそれによって安全を確保できるとは考えられない。」
とあります。記事の中では「莫大な見返り」の中身は触れていません。
触れる勇気はないのでしょう。しかし、在韓米軍の撤退も含む到底保守派には受け入れられない内容でしょう。
アメリカ・ファーストを掲げるトランプが交渉すれば、アメリカへの脅威が、取り払われれば、了承する可能性があります。
なぜなら受け入れなければ、さらに核開発が進み、さらに脅威が増してくることになるからです。
日本はどうするかというと日本に届く中距離核を廃棄させれば、世論はオーケーとなるかもしれません。
すると、韓国に届くスカッドミサイルなどが残されることになります。もちろん核搭載可能です。日本はもはや韓国のためにアメリカを説得することはあまり期待できないでしょう。韓日分断は次第に大きくなりつつあります。
「その見返りが何であれ、大韓民国国民がそれによって安全を確保できるとは考えられない。 最善のシナリオであっても、結局国民は金正恩氏が持つ核兵器の人質として生きていくしかない。米朝間によるこのような話し合いに韓国が口を挟む余地もないはずだ。」
文在寅は国民に期待を与えています。そうしている間に、「そのような形で一時的に現実から顔を背けることはできて、「核兵器の人質」という韓国が置かれた本質的立場は現実として何も変わらない。」のです。
北朝鮮がアメリカに届くICBMが実戦配備が完了すれば、ゲームチェンジ(局面転換)します。直接アメリカは北との交渉に応じるざるを得ません。
アメリカは北のICBMの脅威をなくす代わりに大きな見返り(在韓米軍の撤退)を与える可能性が高いのです。朝鮮日報も日本の評論家と同じく、そのことを明確に口にしません。
自分たちへの攻撃を恐れるから曖昧に言います。
韓国が、北朝鮮の核及び通常兵力の前に屈するしかないその将来を語る勇気はありません。